09月≪  2019年10月 12345678910111213141516171819202122232425262728293031  ≫11月
    いけばな

    2011'12.16 (金)

    生花一種生 水仙 3本

    生花一種生 水仙(拙作)「水仙の俵生(タワライケ)」
    と呼ばれる稽古方法があります。
    写真は、私が
    この荒稽古に挑戦した時の作品です。

    私の伯母は戦争未亡人で、
    稽古花の卸をして生計を立て、
    2人の子どもを立派に育て上げました。
    11月15日の記事「花屋さんについて」

    そのころ、水仙の栽培農家が
    市場へ出荷する単位は200本でした。
    刈り取って選別した水仙の花200本を
    藁菰(ワラコモ)に包んで
    縄でしばって市場に出荷します。
    それがちょうど米俵のような形をしています。

    通常、生花市場で競りにかけられた花は、仲買人に競り落とされ、
    10~50本単位に小分けにされて仲卸店に並び、
    それを小売のお花屋が買って行って、一般のフラワーショップに並べます。
    でも、水仙200本を売りさばけるような大手のお花屋は、
    仲買を通さず直接競りで落としていくので、その分安く仕入れる事ができます。
    また、仲良しのお花屋が、数人でいっしょに競り落として分け合うことで、
    安く仕入れるという手もあります。伯母はよくそうしていました。
    房総の漁港から東京の魚河岸に鮮魚を運ぶトラックが
    帰りはカラで帰るのを頼み、仕入れた花を運んでもらいます。
    そうやって、伯母は知恵を絞って、安くて良い花材を、
    いっしょうけんめい 女学生たちに提供してきたのです。

    さて、
    「水仙の俵生」とは、水仙200本を俵の状態のまま安く買い付け、
    一晩のうちに生花70~100瓶を生けるという荒稽古です。
    もちろん、正式な稽古方法というようなものではないでしょう。
    私の師匠の師匠が、かつてやったという伝説です。
    その話をはじめて聞いたとき私は閃光を見た気がしたのです。
    「いつかやってみたい。いや、いつか必ずやってみよう。」

    その後、紆余曲折を経て、実現できたのは15年前の事。
    当時の私は会社員で、休日返上、毎日12時過ぎの帰宅という日々でしたから、
    「正月休みに決行」と心に決め、市場の閉まる27日に水仙の仕入れを頼みました。
    さすがに、友達とふたりで100本ずつ分けましたけどね。
    1日の午後から2日の午前まで、水仙の生花をひたすら生け続けましたよ。
    2本生を20瓶、3本生を20瓶、合計40瓶。食事を挟んで約20時間。
    2本生の参考写真はこちら→12月7日の記事「生花一種生 水仙」

    真冬の夜中に(花が傷まないように)暖房もつけず
    水の中に手を入れていると、指が痺れて頭がボーっとしてきます。
    乱暴な生け方になると思うでしょう?
    それがね、だんだん上手に早く生けられるようになるものなんですよ。
    花が手の一部になってくるような感覚。悟りの境地?(笑)
    やってみたらわかることですが。
    やってみると良いですよ~、一度。
    「陰の花 水仙に限る」 生花七種伝より
    何でも、へ~と思ったら自分でやってみるのが一番ですね。

    昨年、伯母は95歳で他界しました。師匠の師匠もすでにあちらのお方です。
    伯母が永く仕入れに通っていた浅草橋生花市場は、5年前に閉場になったようです。
    時代はたゆまなく流れてゆきます。
    若いときの鍛錬は私の大切な財産。
    今やりたいことで、今できることは、今残さずやっておきましょう。
    活花 活け花 生け花 いけばな お花 花器 花瓶 生花 池坊 華道 お稽古

    ★最後まで読んでくださってありがとうございます。
     ↓応援クリックしていただけるとうれしいです。

       にほんブログ村 花・園芸ブログ フラワーデザインへ       FC2ブログランキングへ

    いけばな作品タグ
    (季節)冬 (花型)生花正風体一種生 (伝書)七種傳 (花器)竹 (花留)花配り (花材)スイセン 


    06:00  |  コメント(6)  |  トップへ  |  EDIT

    Comment

    おはなさん、素敵に生けてますよ。
    私には真似が出来ません。

    水仙への思い入れ。
    此処まで美しく生けるのに
    沢山の苦労が有ったんですね。
    その苦労の結晶とも言える生け方かと思います。
    太巻きおばば   
     2011年12月18日(日) 05:01 | URL | コメント編集

    ★太巻きおばばさんへ

    ありがとうございます!
    確かに思い入れは人一倍。
    だからこそ獲得できたものはありますねぇ。
    でももう今は、ここまではやりません!!
    ていうか、できません。(笑)
    楽しいほう、楽なほうが好きで~す♡
    おはな   
     2011年12月18日(日) 13:18 | URL | コメント編集

    私の母の一番好きなお花は水仙!
    こんなに苦労しながら運ばれてくるんですね~♪
    おはなさんの周りには
    お花を愛する人がたくさんいるからこそ
    おはなさんもお花への愛情がたっぷりなんですね~!!
    この作品もおはなさんらしくて
    素敵でーす☆

    ぼるんちゃん   
     2011年12月18日(日) 13:57 | URL | コメント編集

    ★ぼるんちゃんへ

    そうですか、あの素敵なお母さまの、好きな花。
    奥ゆかしくてかぐわしい水仙。いいですよね~!!

    「花嫁修業」が死語になって(!?)
    お花を習う人も減ったから、
    カルチャースクールの盛んな東京と違って、
    今は地方ではかえって入手困難な花材もあります。
    和物は特にね、需要が無いから、地方では出回らないのです。
    別注するとぼったぐられる!!
    でも、おはなクラブの会員さんには、
    そういうのも是非経験して欲しいので、
    畑で少しずつ栽培を始めました。
    たのみの伯母さんももういないし。
    おはな   
     2011年12月18日(日) 18:20 | URL | コメント編集

    ★こんばんは。

    お花のことは、なにもわからぬ無粋ものです(~_~;)。
    でも最後の、、、、
    「今やりたいことで、今やれることは、残さずやっておきましょう」
    には思わず打たれました。
    そうですね、私はほっておくとあと2,3年の命だったと、院長さんに言われてなんとか、持ち直しているようです。
    だからといって真面目な生活を心がけているわけでもなく、ただただ楽しかった晩年の記憶を沢山残して、思い出し笑いしながら冥土にいけたら、とは思うようになりました。そうですね、思い残すことがないように・・・一日一日。
    でも、ときどきは呆けたような時間も、お赦しください(笑。
    NANTEI   
     2011年12月18日(日) 19:34 | URL | コメント編集

    ★NANTEIさんへ

    そうですか…。重い告白に躊躇してます。
    なんちゃって。

    実は私も、自分の難病を発見してくださったお医者様に、
    「明日の朝、心臓が止まるかも知れない。」と脅されました。
    ME/CFSは中高年の突然死の隠れ要因なんだそうです。
    体力に自信過剰の熱血サラリーマンは、気付かずに居るだけ。
    私も仕事に一生懸命でしたから、自分の異変に対処できずに。
    図らずも突然人生の岐路に立っちゃったわけです。

    親より先に死ぬと地獄に落ちるそうで、それが恐くて、(超臆病なんです。)
    一番大切なほうから二つだけ残して、あとはあきらめました。
    たぶん、正解だったのじゃないかと思ってます。
    だって今、生きてるからNANTEIさんにめぐり合うことができましたから!

    > 楽しかった晩年の記憶を沢山残して、思い出し笑いしながら冥土に

    大賛成です!!
    今日も楽しく、やりたいことをやりましょう。
    おはな   
     2011年12月18日(日) 23:14 | URL | コメント編集

    コメントを投稿する


     管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

    ▲PageTop

     | HOME |