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    いけばな

    2012'07.20 (金)

    なでしこの宝船

    入船
    いけばな池坊の伝書には「三船生方の事(サンセンイケカタノコト)」という項があり、
    「出船(デフネ)」「入船(イリフネ)」「泊船(トマリブネ)」のいけ方が説かれています。
    写真の花形は「入船」。花材は夏櫨(ナツハゼ)と撫子(ナデシコ)。5年前の拙作。
    「入船」は別名「宝船」とも称し、魚を満載して帰って来た船を表現します。
    いかにも荷重たげに船尻を少し下げて、床の間に吊るし、
    受賞や還暦など、人生の成果を寿ぐ、祝儀の席に飾ります。
    反対に「出船」は勢いよく出港する船なので、
    前のめりに舳先を下げ、帆にいっぱいの風を孕むように形作ります。
    入学、就職、結婚など、新たな門出を祝うときにいけます。
    「泊船」は以前に載せましたよね。4月23日の記事「燕子花の生花『泊船』」

    20120720180329.jpg  20120720180329 (1)  20120720180329 (2)
    大和撫子(ヤマトナデシコ)は日本古来の川原撫子(カワラナデシコ)の別名。
    川原撫子は、花びらが薄く細かい裂の入った見るからにたおやかな花です。(左)
    対して、唐撫子(カラナデシコ)はちょっとごっつい感じの、セキチクのこと。(中)
    ナデシコとセキチクとカーネーション(右)は、みなナデシコ科ナデシコ属で親戚です。
    撫子(ナデシコ)の名は、万葉集に「形小さく色愛すべき、愛児に擬す」とあり、
    「撫でたいほど愛しい子」に由来します。可愛いらしい女性=恋人の暗示も。
    奥ゆかしい日本女性の代名詞と思われがちですが、
    花言葉には純愛・無邪気の他、才能・大胆・勇敢 などあります。
    なるほど、なでしこジャパン。お宝を持って揚々と凱旋しますように!
    学校はダメでした。ほんとうは今日「出船」を掲載したかったのですが。
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    いけばな

    2011'12.16 (金)

    生花一種生 水仙 3本

    生花一種生 水仙(拙作)「水仙の俵生(タワライケ)」
    と呼ばれる稽古方法があります。
    写真は、私が
    この荒稽古に挑戦した時の作品です。

    私の伯母は戦争未亡人で、
    稽古花の卸をして生計を立て、
    2人の子どもを立派に育て上げました。
    11月15日の記事「花屋さんについて」

    そのころ、水仙の栽培農家が
    市場へ出荷する単位は200本でした。
    刈り取って選別した水仙の花200本を
    藁菰(ワラコモ)に包んで
    縄でしばって市場に出荷します。
    それがちょうど米俵のような形をしています。

    通常、生花市場で競りにかけられた花は、仲買人に競り落とされ、
    10~50本単位に小分けにされて仲卸店に並び、
    それを小売のお花屋が買って行って、一般のフラワーショップに並べます。
    でも、水仙200本を売りさばけるような大手のお花屋は、
    仲買を通さず直接競りで落としていくので、その分安く仕入れる事ができます。
    また、仲良しのお花屋が、数人でいっしょに競り落として分け合うことで、
    安く仕入れるという手もあります。伯母はよくそうしていました。
    房総の漁港から東京の魚河岸に鮮魚を運ぶトラックが
    帰りはカラで帰るのを頼み、仕入れた花を運んでもらいます。
    そうやって、伯母は知恵を絞って、安くて良い花材を、
    いっしょうけんめい 女学生たちに提供してきたのです。

    さて、
    「水仙の俵生」とは、水仙200本を俵の状態のまま安く買い付け、
    一晩のうちに生花70~100瓶を生けるという荒稽古です。
    もちろん、正式な稽古方法というようなものではないでしょう。
    私の師匠の師匠が、かつてやったという伝説です。
    その話をはじめて聞いたとき私は閃光を見た気がしたのです。
    「いつかやってみたい。いや、いつか必ずやってみよう。」

    その後、紆余曲折を経て、実現できたのは15年前の事。
    当時の私は会社員で、休日返上、毎日12時過ぎの帰宅という日々でしたから、
    「正月休みに決行」と心に決め、市場の閉まる27日に水仙の仕入れを頼みました。
    さすがに、友達とふたりで100本ずつ分けましたけどね。
    1日の午後から2日の午前まで、水仙の生花をひたすら生け続けましたよ。
    2本生を20瓶、3本生を20瓶、合計40瓶。食事を挟んで約20時間。
    2本生の参考写真はこちら→12月7日の記事「生花一種生 水仙」

    真冬の夜中に(花が傷まないように)暖房もつけず
    水の中に手を入れていると、指が痺れて頭がボーっとしてきます。
    乱暴な生け方になると思うでしょう?
    それがね、だんだん上手に早く生けられるようになるものなんですよ。
    花が手の一部になってくるような感覚。悟りの境地?(笑)
    やってみたらわかることですが。
    やってみると良いですよ~、一度。
    「陰の花 水仙に限る」 生花七種伝より
    何でも、へ~と思ったら自分でやってみるのが一番ですね。

    昨年、伯母は95歳で他界しました。師匠の師匠もすでにあちらのお方です。
    伯母が永く仕入れに通っていた浅草橋生花市場は、5年前に閉場になったようです。
    時代はたゆまなく流れてゆきます。
    若いときの鍛錬は私の大切な財産。
    今やりたいことで、今できることは、今残さずやっておきましょう。
    活花 活け花 生け花 いけばな お花 花器 花瓶 生花 池坊 華道 お稽古

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    いけばな

    2011'12.07 (水)

    生花一種生 水仙

    生花一種生 水仙(拙作)我が家の畑の水仙が、やっと咲き始めました。
    この季節になると、
    必ず1回は稽古しておきたい水仙です。
    写真は、生花一種生水仙2本を生けました。

    「陰の花 水仙に限る」 生花七種伝より

    清楚な姿、高貴な香、冬季最高の花。
    寒風に耐え、北国では雪の下からも
    凛として可憐な花を咲かせる日本水仙は、
    別名 雪中花とも言います。
    昔は冬に咲く花は少なかったので、
    本当に貴重な存在だったんですね~。

    水仙の生花は、
    花、葉、袴をいったんバラバラにして、
    理想的な姿に組みなおして生けます。
    11月中は2本、12月に入ると2~3本生けます。
    花の数や位置など、季節が進むごとに細かな法則があり、
    憶えるのはたいへんですが、それは自然の摂理にかなっていて
    とても奥深く、何度習っても興趣の尽きない花です。
    あ~それにしても、良い香りだわ~~~。

    日本水仙(ニホンスイセン)
     ヒガンバナ科スセイン属
     学名 :Narcissus tazetta var. chinensis
     (ギリシャ神話の美少年ナルキッソスが化身した花で、ナルシストの語源。)
     原産地は地中海沿岸。室町時代に中国を経由して渡来、野生化した。
     弱い毒があるので、たまねぎやニラと間違えて食べないこと!

    「水仙の俵生(タワライケ)」と呼ばれる稽古法があります。
    一晩に200本の水仙を生ける荒稽古です。
    私がこの荒稽古に挑戦した時の作品をひとつ、
    次回アップしますので、どうぞお楽しみに。
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    土いじり

    2011'11.07 (月)

    乱菊

    菊かごもり一昨日の記事、
    あまりに文字が多過ぎて
    我ながら、読んでくたびれました。
    だから今日はね、軽く、いきます。

    畑の菊を、玄関に飾りました。
    ただ、切って挿しただけ。将来は
    一応華道家を目指しているけれど、
    こんなのも好きなんですよ。

    いろんな小菊を、春から
    さし芽して、増やしてきました。
    品種名は、どれもわかりません。

    畑の菊
     11月に入ってやっと咲き始め、
     色とりどり、にぎやかに開いて、
     昨日の雨で、倒れちゃったのです。
     でも、美しい花の乱れた姿というのもなかなか。
     「乱菊」という
     着物の古典柄の名称も、あるくらいですからね。

     明日は立冬。

       手折ってくれと 言はんばかりの 菊の花
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    いけばな

    2011'11.05 (土)

    生花一種生紅葉(モミジ)の絵

    写真が見つからなかったので、代わりに絵です。生花一種生紅葉のぬり絵

    この絵は、いけばな研究会で配られた
    武藤松庵先生の作品図の白黒プリント。
    これに各自、色鉛筆で色を塗って、
    どこにどんな枝を使うのが正しいか
    描きなさいという課題でした。
    正しい=自然の摂理にかなっているという事。
    簡単に言うと、南側の枝は紅葉が進んで、
    日陰側はまだ緑色が残っている状態です。
    実際の景色と比較するとわかりやすいです。
    10月29日の記事「大学のもみじ」
    大学のもみじの写真は、
    1枚目は南側から見た木の姿で、
    2枚目は北側から見た木の姿です。
    池坊伝書「生花五ヶ條七種傳」には、いろんな植物の
    それぞれの生態に根ざした正しい生け方が明文化されています。
    そこに書かれたとおりに生けられれば、大自然の一部を切り取ってきたかのように、
    床の間や玄関に、清涼な風が渡るいけばなを飾る事が、誰にでもできるのです。
    しかし、伝書は文で書かれていて、絵が載っていません。
    そこで、伝書の文を解釈して、明治の大家の絵に、色を塗る勉強をしたのです。

    結果は70点。
    私のこの色塗りは30%間違っています。
    探していた写真というのは、その後、自分で山から
    楓紅葉(カエデモミジ)を切ってきて、ひとりで練習したものの写真でした。
    あまり自信もなかったので、結果的には、こっちの絵の方でよかったのかな~。

    紅葉の生花は、花材の調達がとても困難な事と、
    紅葉の色づき具合により、生けられる期間が非常に限定されるので、
    今時は、めったに本物を生ける機会がありません。
    それを補完するために、先生が考えてくださった勉強法です。
    良い作品の絵を見て雰囲気をつかみ、どこにどんな枝を使うのか、
    しっかり頭に叩き込んでおいて、どこかの庭園の紅葉の剪定など、
    千載一遇のチャンスにめぐり合ったときに実践します。

    また、「花は足で生けろ」とよく言われますよね。
    紅葉の名所にせっせと自分の足で歩いて行って、美しい紅葉をたくさん見て、
    どこがどういうふうに美しいのか、自分の目でよく見て覚えることが大切。
    (実はいけばなは、体力勝負なんですよ!)

    ≪楓(カエデ)について≫
    先週行った大学にあったのは西洋楓(セイヨウカエデ)、
    葉っぱが大きくて大人の手のひらほどありました。
    カナダの国旗は砂糖楓(サトウカエデ)で、メープルシロップが摂れる木。
    葉っぱがでかくて、独特の形ですよね。
    寺社にあるのは、たいてい、イタヤカエデかイロハモミジ。
    赤ちゃんの手のひらの形容詞として使われるのは、
    この楓の小さくかわいい繊細な葉です。
    カエデ科カエデ属の木には、ものすごくたくさんの品種があります。
    日本人は昔からよほど桜と楓が好きだったらしく、
    古い神社仏閣には、これでもかと言うほど植えられてきました。
    美しい楓紅葉をたくさん見に行ってください。

    ≪紅葉(モミジ)について≫
      楓紅葉(カエデモミジ)=楓の紅葉(カエデのコウヨウ)
      桜紅葉(サクラモミジ)=桜の紅葉(サクラのコウヨウ)
      銀杏黄葉(イチョウモミジ)=銀杏の黄葉(イチョウのオウヨウ)
      草紅葉(クサモミジ)=箒草、エノコロソウ、山芋等、草の紅葉(クサのコウヨウ)
    「紅葉(モミジ)」は、秋になって変色した草木の総称なのです。
    ただし、生花一種生で生けるのは楓紅葉だけです。

    ≪紅葉(コウヨウ)のメカニズム≫
    緑色のクロロフィルが日光不足で減少し、夏の間に蓄積したブドウ糖が紫外線で
      赤色アントシアニンに変化するのが紅葉。
      黄色カルテノイドに変化するのが黄葉。

    あ~、やっぱり長くなっちゃった、紅葉(モミジ)のウンチク。
    と言っても、たいした中身じゃなくてゴメンナサイでした。
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    2011'06.09 (木)

    楊貴妃の眉毛

    生花二重生 未央柳(拙作)二重切花筒の生花二重生(拙作)です。

    花材は、ミオヤナギ、
    ピンクの撫子、紫のアイリス。
    残念ながら、
    ミオヤナギは生けているうちに
    花が全部落ちてしまいました。

    ミオヤナギ(未央柳)。
    これからの季節に、目にも鮮やかな
    黄色い花が、しゃんしゃんと咲いて、
    雨に濡れた姿がまた、艶やかな美人だなあ。

    と思って近所に写真を撮りに行ったら、近所の雨上がりのキンシバイ
    なんと、それはキンシバイ(金糸梅)でした。
    キンシバイは、
    花も葉も丸く、枝がなよなよしています。
    ミオヤナギは、
    これよりも、花の雄しべがフサフサと長く、
    葉がとがっているので姿がキリリと締まり、
    枝がしっかりしていて、生けやすいです。

    未央柳と書いて、
    ミオヤナギ、ビヨウヤナギ、ビジョヤナギ…。
    いろんな読み方をします。

    白楽天(白居易)の「長恨歌」は、
    楊貴妃と玄宗皇帝の悲恋を歌った長編漢詩。
    今は亡き、美しい楊貴妃をしのび、
    玄宗皇帝が、宮殿の草木を見ては、涙を流すのです。
    「顔は太液池の芙蓉の花、眉毛は未央宮の柳の葉

    そこから、日本では、美央柳、美容柳、美女柳などと、
    美女のイメージと音の感触で、呼び名の変化が展開しました。

    下の写真は(図鑑から拝借)、左がミオヤナギ、右がキンシバイです。
    どちらもオトギリソウ科オトギリソウ属なので、やはり似ていますね。
    しかし、ほんとうにきれいな花だ~。
    未柳央 金糸梅
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    2011'05.09 (月)

    生花一種生 燕子花

    生花一種生 燕子花(拙作)「いけばな」の記事が、
    みなさまに喜んでいただいているようなので、
    嬉しくなっちゃった。
    調子に乗って、第4弾です。

    と言って選んだのが、また燕子花。
    だって、好きなんだもの♪

    カキツバタは、普通、水辺に生えていますよね。

    我が家のカキツバタも、
    2年前までは、田んぼで育てていたのですが、
    わけあって田んぼは埋められちゃったので、
    カキツバタは少しだけプランターに残しました。
    近所の用水池にも、内緒で少し植えて来ました。
    そうやって、花材として将来使えるように、
    家の周りの大自然のあっちこっちに、
    私の植物をひそかに育てています。

    カキツバタは、普通、池の中に、水に浸かって咲いていますよね。
    でも、この植物が本当は水に浸かりたくないって、知っていました?

    春になり、地下水位が上がってくると、燕子花は雨期の到来を感じ、
    「たいへんだ、早く花を咲かせないと、水没して子孫が残せない」
    と思って、つぼみを伸ばし始めるのだそうです。
    水かさが増えると、たいへんだ、たいへんだ、とどんどん咲く。

    え~本当?
    私も嘘だと思ったの。
    それで、苗を買って使わない田んぼに植えてみたんですよ。

    本当でした。
    常に水をはっていると、嫌がって、2、3年で株全体が陸の方に移動してしまう。
    そして、そのまま陸にしておくと、花が咲かなくなりました。
    やっぱり水は要るんです。でも水が好きなわけではないらしい。
    微妙な花ごころ…。
    花の季節だけ、田んぼに水をたっぷり入れて、他の季節は水を抜いてやるの。
    水位の調整で、1月に珍花(季節はずれに咲く花の事)を咲かせる事もできました。
    逆境にあって花は美しく咲く。本当に驚かされます。
    それを私に教えてくれた仙人も、若い頃、これをやってみたのではないでしょうか…。

    今回の写真は、5年くらい前の研究会での作品です。
    4月27日の記事の写真とはだいぶ趣が違うと思います。
    5月中旬の表現です。
    季節が進むと、もっと妖艶になったり、老練になったり。
    燕子花は四季を通じて生けられる、楽しみの多い花材。
    だから、私は燕子花が大好きです
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